キャストエス&エス/CAST S&S 感想
“はずる”シリーズより、キャストエス&エスについて書きます。
大きなヒント・ネタバレを含む部分はクリックしないと見えないように隠しますが、まっさらな状態で取り組みたい場合は読むのをご遠慮ください。
評価:★★★★☆☆
デザイナー:Nob. Yoshigahara(過去の名作を、Nob氏が設計監修のうえ復刻)
発売年 :1984年
公式難易度:★★★☆☆☆
体感難易度:★★★☆☆☆
クリア時間:外すのに40分、戻すのに15分
初期の“はずる”、旧称キャストパズルたちは基本的に銅色でデビューしましたが、度重なるリニューアルを経て、多くが銀色に姿を変えました。キャストエス&エスは、その風潮に逆らった作品の一つ。磨かれたボディには色の濃淡があり、それが絶妙なアンティーク感を演出しています。イギリスヴィクトリア時代のパズルの複刻だそうですが、当時の品だと言われても信じてしまいそう。*1近年のインダストリアルな“はずる”とは趣が異なりますが、これもまた一つの洗練です。
そんな保守派のエス&エスですが、一つ大きく変化した(……と私が勝手に思っているだけかもしれない)のが、初期状態です。昔の製品と現行のものを比べると、パッケージから取り出した時点でのパーツの位置に差異があるようなのです。私が入手したのは現行版で、初期状態はアイキャッチ画像のとおり。一方、古いものは下の画像のように組まれていたみたいです。
web上で未開封品の画像などを見る限り、ターニングポイントはキャストパズルが黒い箱で売られていた2000年代のどこかでしょうか。もっとも古いエス&エスの現物を見た訳じゃないし、いまいち確信が持てないのですが……。以下、変更があったという前提で記事を書きます。
この変更は、成功だと思います。過去の組み方では、エス&エスの真髄に気づかない人が一定数居たはずです。
ただ残念なのは、現行版のパッケージ裏側、「『はずる』前」と銘打たれた写真が旧版のものになっていて、表側および実物と差異が生じていること。キャストスターのような、嵌りさえすればそれでいいというパズルではないので、初期状態は明示すべきでしょう。遊ぶ前には写真を取っておくことをお勧めします。
さて、実際に弄ってみての感想ですが、なかなか難しかったです。一見オーソドックスな知恵の輪ですが、予想外な展開があり、罠も仕掛けてあります。
また、いざ解けてもそれで終わりではありません。やりこみ要素とでも言うべきものがあって、公式の紹介動画*2では「奥の奥まで入れられる」と語られています。人によっては、外すより前に「奥の奥」に到達することもあるかと思いますが、その場所を「奥の奥」として認識できるかはまた別の話。クリア後にしか見えない景色があるのです。
キャストエス&エスの造形は、後続の“はずる”にも見られる様々なエッセンスが結びつき、優美な曲線を為したものです。“はずる”を進化の系統樹のように並べたとき、幹に配置されるべきはエス&エスでしょう。ロートルと侮らず、是非手にとってみて欲しいパズルです。
以下、解けない方向けのヒントです。
ヒント