はづれぐさ

“はずる”シリーズ(旧キャストパズル)を中心に、感想・よしなしごとを書くブログ

キャストスター/CAST STAR 感想

“はずる”シリーズより、キャストスターについて書きます。
大きなヒント・ネタバレを含む部分はクリックしないと見えないように隠しますが、まっさらな状態で取り組みたい場合は読むのをご遠慮ください。


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キャストスター CAST STAR
評価:★★★☆☆☆
デザイナー:Nob. Yoshigahara(過去の名作を、Nob氏が設計監修のうえ復刻)
発売年  :1983年

公式難易度:★★★☆☆☆
体感難易度:★★☆☆☆☆
クリア時間:外すのに25分、戻すのに3分

 

“はずる”、旧キャストパズルの歩みは1983年から始まりました。廃番品も含めれば80種を超えるこのシリーズも、最初のラインナップは三つ。キャストキー、キャストABC、そしてこのキャストスターです。キーはすでに廃番だし*1、ABCも一時期は海外限定になっていたそうですから、スターは最も長く売られている“はずる”ということになります。
ボディは初期のキャストパズルに多かった銅色ですが、今や少数派。星を捕らえた環状の蛇を模したデザインも、抽象化された形が多い“はずる”の中では、ちょっと異質です。もし今の時代に新商品として出たなら、蛇の目や鱗が刻まれることは無いんじゃないでしょうか。まさに不老不死を象徴するウロボロスの如く、変わらずにあり続けたスターは、見る者に38年間という時の長さを思わせます。

このパズル自体の起源はもっと古く、元になったのは19世紀イギリスの作品です。公式の紹介動画*2によれば、オリジナルには四ヶ所の抜け道があったのを、再設計により一ヶ所からしか外れなくしたとのこと。別解を作らないという“はずる”のポリシーはここから始まったのかもしれません。*3
実際に弄ってみると、何通りもある星と蛇の位置関係の中から答えを探すのは、なかなかヘビーです。私は思っていたより随分と時間がかかってしまいました。それに、解法が記憶しずらいので、ニ度目も楽勝とはいきません。
ただ、運次第で一瞬で取れてしまうこともあるでしょう。かつては小型化されたストラップも売られていましたが、偶然外れて星だけ無くなりそうで怖い。テーブルの下とかに落ちてたら、撒菱そのものです。

キャストスターは最年長だけあって、代表的な“はずる”の一つだと思います。数種類だけの小規模な売り場でもよく目にするし、試遊コーナーに置かれていることも多いので、知名度はかなり高そうです。トップバッターとしてシリーズを定着させ、今なお現役で活躍しているのですから、その功績には計り知れないものがあります。驚くようなアイデアが込められている訳ではないけれど、その造形は上手くできていて、外すパズルとしてのプリミティブな面白さは決して色褪せていません。百戦錬磨の蛇と星は、これからも多くの人を楽しませ、苦しませることでしょう。

以下、解けない方向けのヒントです。

ヒント

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回しながら動かしていればそのうち外れるパズルですが、形状を観察することでヒントは見つかります。星の突起のうち、一番短いものを意識するといいかもしれません。
 

以下、ネタバレを含みます。解いてからご覧ください。

ネタバレあり感想

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初回は適当に弄って外しましたが、何度か遊んでいるうちに、観察と思考によって解くことのできるパズルだと気づけました。蛇の穴は表側より裏側の方が広いので、そっちから星が抜けることは容易に想像できます。また、星の一番短い突起をよく見ると、四つの角のうち一つが大きく削られています。これらを加味して考えれば、試すべきパターンはそう多くないことが分かります。
スターは一番古い作品ですが、当時から変わらない、“はずる”を解く上で大切な視点を教えてくれます。

*1:現在はアレンジが加えられたキャストキーⅡが販売されています。

*2:【キャストパズル動画】CAST STAR 8本目/全22本 - YouTube

*3:キャストスターでは成功していますが、しばしば別解が残ったまま発売されてしまう作品もあります。その場合は後から改良が加えられることが多いです。