はづれぐさ

“はずる”シリーズ(旧キャストパズル)を中心に、感想・よしなしごとを書くブログ

キャストダイス/CAST DICE 感想

“はずる”シリーズより、キャストダイスについて書きます。
大きなヒント・ネタバレを含む部分はクリックしないと見えないように隠しますが、まっさらな状態で取り組みたい場合は読むのをご遠慮ください。


f:id:kaizu_oceanmap:20211031164558j:image

キャストダイス CAST DICE
評価:★★☆☆☆☆
デザイナー:Timothy Collins
発売年  :2021年

公式難易度:★★★☆☆☆
体感難易度:★★☆☆☆☆
クリア時間:外すのに4分、戻すのに4分(解法を忘れてリトライしたところ、外すのに15秒、戻すのに18分)

 

私が“はずる”シリーズをはじめとしたメカニカルパズルに関心を持ったのは、元々ボードゲームが趣味だからです。パズル要素の強いゲームは多いし、“はずる”を発売しているハナヤマはボードゲームの老舗ですからね。*1
なので、サイコロには思い入れがあります。ボードゲームにおけるランダム要素としては、他にカードシャッフルやバッグドローもありますが、やっぱりダイスロールには根源的な楽しさがあります。*2

さて、キャストダイスはサイコロの形をした“はずる”ですが、実際にサイコロとしても使用できる……なんてことはありません。というのもこの作品、パーツの収まり方がとても緩いのです。サイコロのように振ろうものなら、落ちた頃にはすでに変形してしまいます。また、公式サイトのデザイナーズファイル*3によれば、最初は球形のパズルとして考えていたものが、結果的にサイコロの形に落ち着いたそう。
サイコロっぽいのは見た目だけ。六面ダイスならぬ外面ダイスです。

私が最初に遊んだときは、ちょっとしたアクシデントがありました。弄り始めてすぐに、中の三つのパーツがちょうど噛み合ってしまい、びくとも動かなくなってしまったのです。初期状態が緩いだけに、少しくらい力を入れても大丈夫だろうという油断があったかもしれません。直そうと頑張りましたが、もうハシビロコウばりに動かず、結局自分ではどうにもなりませんでした。二つ目を買うしかないかと思っていたのですが、ハナヤマの相談センターに郵送すれば直してくれると知って、そちらを利用させていただきました。ありがたい限りです。

無事に帰ってきた後、気を取り直して挑戦してみると、外しも戻しもそれぞれ4分ほどでクリアできました。心待ちにしていたこともあって、あっけない幕切れです。
でも、この記事を書くにあたって再度解いてみたところ、かなり印象が変わりました。解法はすっかり忘れていたのですが、今度はほんの一瞬で外れ、その代わり戻すのに苦戦しました。零れ落ちるようにばらけてしまったので、手順を逆再生することができなかったのです。きっとこのパズルは、外すのが早ければ早いほど、結果的には時間を要します。

キャストダイスは、外しよりも戻しに主眼を置くべき作品です。キャストダイヤモンドやキャストラブは初めから外れた状態でパッケージに入っていますが、このダイスはそうではないおかげで、「簡単に外せたのに戻せない」という体験を生み出しています。この感覚を上手く味わえるかどうかは運否天賦で、ある意味これが一番のサイコロ要素かもしれません。SNSなどの感想を見る限り、かなり分の良い賭けではあります。私は負けどころか相談センターのお世話になるというヒフミをやらかしたのですが、こんなことは滅多にないはずです。
ただ、賭けに勝ったとしても、戻し方自体にそこまでの意外性があるわけではありません。構造物としての美しさはありますが、パズルとしての楽しみがもう少し欲しかったところです。

以下、解けない方向けのヒントです。

ヒント

表示する
外すのは簡単なので、戻すヒントです。三つの同型のパーツを同時に枠に入れるのではなく、まずは二つでやってみましょう。その状態をある程度保ちながら三つ目も入れる、というのが指針になるかと思います。
 

以下、ネタバレを含みます。解いてからご覧ください。

ネタバレあり感想

表示する
キャストダイスがすぐに外れるかどうかは、最初にどういう持ち方をするかに依るところが大きいと思います。中の三つのパーツを持って外そうとすると、自分の指自体がストッパーとなって形が保たれます。一方で、外枠の黒いパーツだけを持てば、適当に振り動かすだけで外れる直前の状態になります。そう考えてみると、サイコロのように振ることで答えに近づくパズルなのかもしれません。

*1:ハナヤマのボードゲームは、ほとんどがユーロゲームの台頭以前に生まれたものですが、かつてカプコンと一緒にカタンの日本語版を出したこともあります。

*2:サイコロをたくさん振るボードゲームでは、ダントツでブルゴーニュが好きです。でもブルゴーニュプラスの修道院タイル6番強すぎない?

*3:ティモシー・コリンズ(Timothy Collins) | はずる公式サイト